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今だから「硫黄島からの手紙 」を読んでおいて欲しい
アメリカ海軍兵学校
毎日孫の顔を見せてくれるスカイプの画面に、たぶん、娘婿だと思うのだが、あるページのURLを送ってきた。
2006年にクリント・イーストウッドが監督をした2部作映画『父親たちの星条旗』『硫黄島からの手紙』で有名になった硫黄島での激戦と日本軍全滅の中であった我々日本人が覚えておかなければならない『実話』を紹介するURLだった。

1945年3月26日未明、日本軍硫黄島守備隊は最後の組織的反攻を行い、栗林忠道陸軍中将、市丸海軍少将以下、数百名の残存部隊がアメリカ軍陣地へ決死の総攻撃をかけた。
市丸少将は遺書としてアメリカ大統領フランクリン・ルーズベルトに宛てた『ルーズベルトニ与フル書』をしたため、これをハワイ生まれの日系二世三上弘文兵曹に英訳させ日本語、英語各一通を作りアメリカ軍が将校の遺体を検査することを見越してこれを村上治重大尉に渡した。
村上大尉は最後の突撃の際にこれを懐中に抱いて出撃し戦死。
『ルーズベルトニ与フル書』は目論見どおりアメリカ軍の手に渡り、7月11日、アメリカで新聞に掲載された。

それは日米戦争の責任の一端をアメリカにあるとし、ファシズムの打倒を掲げる連合国の大義名分の矛盾を突くものであった。
この手紙は、現在、私も娘たち家族と行ったことがあるワシントンDCに近いメリーランド州の州都アナポリスのUnited States Naval Academy(アメリカ海軍兵学校=写真)の博物館にある。

余談だが、この「アメリカ海軍兵学校」、ジミー・カーター元大統領はじめ、優秀なアメリカ海軍軍人、政治家等を排出し、その中には日本海軍の礎を築いた松村淳蔵、井上良智 、勝小鹿 、瓜生外吉 等多数居る。

この手紙を読むと、お国の為、しいては子孫の為に戦争に行った私たちのご先祖様は、誠実で忠義を重んじ、思慮深く、そして男らしく、武士道の精神や道徳(大和魂)を叩き込まれた筋金入りの『大人の男たち』だったことが分かる。
最近はちょっとましになったかなと感じてはいるが、かつての日本軍を鬼畜としか言わない、日本の左翼さんや、その思想に刷り込まれた中国や朝鮮半島に住む一部の人々の誤解が溶けることを期待したいと思うのは私だけか?

【口語訳】

『ルーズベルトに与うる書』

日本海軍市丸海軍少将が、フランクリン・ルーズベルト君に、この手紙を送ります。
私はいま、この硫黄島での戦いを終わらせるにあたり、一言あなたに告げたいのです。

日本がペリー提督の下田入港を機として、世界と広く国交を結ぶようになって約百年、この間、日本国の歩みとは難儀を極め、自らが望んでいるわけでもないのに、日清、日露、第一次世界大戦、満州事変、支那事変を経て、不幸なことに貴国と交戦するに至りました。

これについてあなたがたは、日本人は好戦的であるとか、これは黄色人種の禍いである、あるいは日本の軍閥の専断等としています。
けれどそれは、思いもかけない的外れなものといわざるをえません。

あなたは、真珠湾の不意打ちを対日戦争開戦の唯一つの宣伝材料としていますが、日本が自滅から逃れるため、このような戦争を始めるところまで追い詰めらた事情は、あなた自身が最もよく知っているところです。

おそれ多くも日本の天皇は、皇祖皇宗建国の大詔に明らかなように、養正(正義)、重暉(明智)、積慶(仁慈)を三綱とする八紘一宇という言葉で表現される国家統治計画に基づき、地球上のあらゆる人々はその自らの分に従ってそれぞれの郷土でむつまじく暮らし、恒久的な世界平和の確立を唯一の念願とされているに他なりません。

このことはかつて、

 四方の海
 皆はらからと 思ふ世に
 など波風の 立ちさわぐらむ

という明治天皇の御製(日露戦争中御製)が、あなたの叔父であるセオドア・ルーズベルト閣下の感嘆を招いたことで、あなたもまた良く知っていることです。

わたしたち日本人にはいろいろな階級の人がいます。
けれどわたしたち日本人は、さまざまな職業につきながら、この天業を助けるために生きています。
わたしたち軍人もまた、干戈(かんか)をもって、この天業を広く推し進める助けをさせて頂いています。

わたしたちはいま、豊富な物量をたのみとした貴下の空軍の爆撃や、艦砲射撃のもと、外形的には圧倒されていますが、精神的には充実し、心地はますます明朗で歓喜に溢れています。

なぜならそれは、天業を助ける信念に燃える日本国民の共通の心理だからです。
けれどその心理は、あなたやチャーチル殿には理解できないかもしれません。
わたしたちは、そんなあなた方の心の弱さを悲しく思い、一言したいのです。

あなた方のすることは、白人、とくにアングロサクソンによって世界の利益を独り占めにしようとし、有色人種をもって、その野望の前に奴隷としようとするものに他なりません。

そのためにあなたがたは、奸策もって有色人種を騙し、いわゆる「悪意ある善政」によって彼らから考える力を奪い、無力にしようとしてきました。

近世になって、日本があなた方の野望に抵抗して、有色人種、ことに東洋民族をして、あなた方の束縛から解放しようとすると、あなた方は日本の真意を少しも理解しようとはせず、ひたすら日本を有害な存在であるとして、かつては友邦であったはずの日本人を野蛮人として、公然と日本人種の絶滅を口にするようになりました。
それは、あなたがたの神の意向に叶うものなのですか?

大東亜戦争によって、いわゆる大東亜共栄圏が成立すれば、それぞれの民族が善政を謳歌します。
あなた方がこれを破壊さえしなければ、全世界が、恒久的平和を招くことができる。
それは決して遠い未来のことではないのです。

あなた方白人はすでに充分な繁栄を遂げているではありませんか。
数百年来あなた方の搾取から逃れようとしてきた哀れな人類の希望の芽を、どうしてあなたがたは若葉のうちに摘み取ってしまおうとするのでしょうか。

ただ東洋のものを東洋に返すということに過ぎないではありませんか。
あなたはどうして、そうも貪欲で狭量なのでしょうか。

大東亜共栄圏の存在は、いささかもあなた方の存在を否定しません。
むしろ、世界平和の一翼として、世界人類の安寧幸福を保障するものなのです。
日本天皇の神意は、その外にはない。
たったそれだけのことを、あなたに理解する雅量を示してもらいたいと、わたしたちは希望しているにすぎないのです。

ひるがえって欧州の情勢をみても、相互の無理解による人類の闘争が、どれだけ悲惨なものか、痛嘆せざるを得ません。

今ここでヒトラー総統の行動についての是非を云々することは慎みますが、彼が第二次世界大戦を引き起こした原因は、一次大戦終結に際して、その開戦の責任一切を敗戦国であるドイツ一国に被せ、極端な圧迫をするあなた方の戦後処置に対する反動であることは看過すことのできない事実です。

あなたがたが善戦してヒトラーを倒したとしても、その後、どうやってスターリンを首領とするソビエトと協調するおつもりなのですか?

およそ世界が強者の独占するものであるならば、その闘争は永遠に繰り返され、いつまでたっても世界の人類に安寧幸福の日は来ることはありません。

あなた方は今、世界制覇の野望を一応は実現しようとしています。
あなた方はきっと、得意になっていることでしょう。

けれど、あなたの先輩であるウィルソン大統領は、そういった得意の絶頂の時に失脚したのです。
願わくば、私の言外の意を汲んでいただき、その轍を踏むことがないようにしていただきたいと願います。

市丸海軍少将


【原文】(「米国大統領への手紙」平川祐弘 新潮社より)

(※口語訳は、「ねずきちのひとりごと」のページより転載しています。)


ご意見 | 19:33:34 | Trackback(0) | Comments(0)
元原子力プラント技工士故平井憲夫氏から告発警鐘メッセージ
原発の危険性を告発した元原子力プラント技工士、故平井憲夫氏の講演ビデオがありました。ぜひ、時間を作ってご覧下さい。福島の原発事故以前の1996年に収録とのことです。『隠されていた危険 ここが危ない日本の原発』
以下のURLをクリック!!
http://www.youtube.com/user/311movie/videos


原発がどんなものか知ってほしい

私は原発反対運動家ではありません
 私は原発反対運動家ではありません。二十年間、原子力発電所の現場で働いていた者です。原発については賛成だとか、危険だとか、安全だとかいろんな論争がありますが、私は「原発とはこういうものですよ」と、ほとんどの人が知らない原発の中のお話をします。
元原子力プラント技工士、故平井憲夫から告発警鐘メッセージです。
以下のURLをクリック!!
http://www.iam-t.jp/HIRAI/pageall.html

新聞原稿より | 09:39:55 | Trackback(0) | Comments(0)
原発だけはアキマセン!!-小出裕章氏の講演に思う
※4月12日の記事にまとめて書いていたが、内容を分離して掲載しなおしておくことにした。

おしゃかさまをたたえるゆうべ
四月八日の夕刻、毎年のことなのだが、京都仏教会の主催で「お釈迦様を讃える夕べ」という催しに招待され参加してきた。
全日空ホテルの大広間には、TV等で見覚えのあるそうそうたるメンバーを含む400人の招待客が集い、御寺・泉涌寺御一山の降誕会法楽のあと、原発を反対糾弾する原発の専門家、京大原子炉実験所助教の小出裕章氏の講演をお聞きすることが出来た。
彼の話を楽しみにしていたので、録音機を持参し、テーブルに置き録音ボタンを押した。

小出氏の講演内容はというと、もっと熱っぽく再稼動の反対を訴えられるものだと思い込んでいたし、期待していた。
しかし、彼のお話はというと、すでに諦めの境地。
大声で糾弾するといった熱はすでになかった・・・。
むしろ、こうなったのは、国家だ、推進した学者だ、と責任を追及されていたのが印象的で、むしろ彼がおかれている「立つ位置」に空しさと恐ろしさを感じたのが正直な感想だ。

もともと、国をはじめ原発推進派として研究を進めてきた彼が、原発反対を唱えるに至った経緯は簡単に説明するなら、研究すればするほど、手を染めてはいけないということが分かったということに他ならない。

彼は、いろいろなところで、原発反対の意思を発言してきたが、『経済活性』という魔物に隅っこに追いやられ、目先の利益を求める大多数の国民からも無視され続けている。

『経済』という魔物は、どうにもならないのか、経済的発展とは? 幸福とは? 物ばかり追いかけている我々はいったいどこに向かっているのだろう・・・。 

彼は、言う。
地球が生まれて460億年、人類らしき人が生まれて400万年、その「人」がエネルギーを必要としだしたのは産業革命のあった200年前からで、この僅かな時の間に人類はとんでもないエネルギー発生装置を作ってしまった。

原発再稼動が安全か否か、電気の足りないのをどうするかの問題ではない。

過ちは、気付いたら直ぐに修正する。しかし、そうしたくとも、すでに今後数万年間は、原発がなかったことにできないそうだ・・・・。

取り返しがつかないのだ・・・。 小出氏が『責任者出て来い!!』と言われるのは分かる。
『死刑』にしても足らないのだ。

私は、確信している。大飯原発再稼働などもっての他だ。原発はすぐになくすべきなのだ。

おおげさではなく我々人類は、福島第1原発事故で学習したではないか。
「原発は止めた方が良い」というハッキリした結論を得た。 
当然、国民、いや人類は皆、同じ学習をした。
再稼動するかどうかを議論する余地などない。直ぐに辞めるべきだと悟った。

滋賀も京都も地元なのかどうか、安全かどうかなど議論する必要などない。
議論することすらナンセンスだということになぜ気付かないのだろう・・・。
京都府や滋賀の知事は、このことを知っていて議論しているのだろうか・・・・。『空論』とはこのことを言う。
これが意図的な議論(空論)だとすると許せない


以下の記事を読むと、すでに我々人類は放射能の中で生きていくしかない事態に陥っている事に気付く。

危険な核廃棄物の処理の目処が立っていない現実を、捕鯨問題では私と意を反するが、あのグリーンピースジャパンのページより、チリ地震直後に掲載されたとみられる記事があった。分かりやすいので以下に転載しておきます。

もうすぐ広島原爆840倍の高レベル核廃棄物が青森県六ヶ所村へ
日本の原発から出た核廃棄物が英国セラフィールドのソープ(THORP)再処理工場で再処理され、高レベル核廃棄物となって、青森県六ヶ所村に向けて船で運搬されています。今回運ばれる高レベル廃棄物は500キログラムのキャニスターとよばれる容器28個分、そこに含まれる放射能は合計すると広島原爆の840倍と想定されます。この船は来週にも青森に着くと報道されています。

高レベル核廃棄物とは?
この高レベル核廃棄物は使用済み核燃料からプルトニウムを抽出した後に出る廃棄物の一部で、長期間にわたり強烈な放射線を発し続けるため、ガラス状に固形化し、ステンレスの容器にしっかりと閉じこめた上で深い地下に埋設されることになっています。しかし、地震の多い日本では地下での埋設に適した土地はないとも言われており、まだその最終処分場は決定すらしていません。
さらに、再処理工場の技術にはさまざまな疑問があり、ガラス固化の状態が不安定であったり、容器の腐食が進む可能性も指摘されています。
最悪の場合、海外にも影響をおよぼす規模の放射能汚染をひき起こすことが考えられます。

今後10年間も続く輸送
英国からの高レベル廃棄物は今回で終わりにはならず、1000個の容器が今後10年にわたり、日本に送られてくる予定になっています。しかし、今回のチリ地震で津波が発生したように、海では何が起こるかわかりません。もし、運搬中に船に事故が起きれば、航路にあたる国々の放射能汚染を起こしかねません。

再処理工場が1日で放出する放射能は、原発1基の一年分
またこの英国のソープ再処理工場に代わり、六ヶ所村再処理工場が本格操業を開始すると、事故が起きなくとも、大量の放射能が、日常的に、海や空へ放出されます。六ヶ所再処理工場が一日で放出する放射能の量は、一般的な原発1基の一年分です。


ということで、『トイレのないマンションに住んでいるようなもの』とはよくいったもので、『糞尿がどんどん蓄積されどんどん汚染され続ける部屋』には住めない・・・。

高レベル核廃棄物の最終処理方法が見つからないまま原発を続けるという考えはあり得ない。

小出氏の言いたいことを私なりにまとめると、『このまま原発を使い続けると、人はやがて地球には住めなくなるよ』といったことだと思う。

2・3日前、就寝前につけたテレビで、たまたま宇宙戦艦ヤマトの実写版の終わり頃を見ることがあった。
何やら最終的に放射能除去装置を手に入れ、地球が救われるといった内容だったらしい。私は、その漫画を見ていた世代ではないので、その内容は知らないのだ。

自分の今年生まれた長男に「大和」と名づけたワシントンDCに住む娘婿(ウィルス学者)に、その宇宙戦艦ヤマトの使命を聞いた。

宇宙戦艦ヤマト』の使命は放射能に汚染された地球を救うために、宇宙の彼方にあるイスカンダル星にある放射能除去装置を取りに行くことであった。子供の頃はその使命をよくわかっていなかったけれど、現在の環境は漫画の状況に近づいていっているという。

漫画や映画では希望の星だったイスカンダル星は、架空の作り話。
地球そのものが、人の住めない星にならないために元から断つしかないのである。

ご意見 | 11:10:12 | Trackback(0) | Comments(1)
4月8日はお釈迦様のお誕生日
浅草寺 誕生会

4月8日はお釈迦様のお誕生日。


 この春、東京の浅草寺近くに新しく居を構えた長男(30歳独身)より「この絵かぁ?」と一言添えて携帯に画像が送られていた。

写真は、金網の向こうの本堂の奥に掲げられた、見覚えのある絵のことだった。

十年以上前に、浅草寺のご依頼で描かせていただいた大きな「釈迦降誕図」が、正面奥に小さく写っている。

 もともと中国古刺繍で縫われた、大きな大きな古い降誕図で、痛みもひどく本堂に掲げられないとのことで、2m×2m程度に縮小して新しく描かせていただいたものである。

釈迦が白象となって摩耶夫人のお腹に入り、無憂樹下でお生まれになり、吉祥の事象が起きたことを図にしてあるおめでたい図だ。

 しかし、この図、4月8日当日しか掲げられることがなく、なかなかお目にかかれないと聞いていたし、当然ながら私自身も、お納めした日から拝見したことは無かった。

年に一度しか掲げられることの無い「釈迦降誕図」はもちろん本堂内からは撮影禁止、長男は、外から金網越に撮影したのだろう。



ご意見 | 10:51:26 | Trackback(1) | Comments(0)
絵師
私の仕事は、仏絵師とか仏画師、あるいは描く題材によっては絵仏師とも表現される。
この文言の最後にある『師』とは、この文字にはどういう意味が含まれるのか、調べてみた。

広辞苑によると、意味が7種類あったが、私のような職業の場合は、3番目にあった「専門の技術を職業とする者」の項に当てはまる。

また、『絵師』を直接調べると、え‐し【絵師・画師】
1、宮廷・幕府などに直属し絵画の制作に当る職人。
  令制では画工司(エダクミノツカサ)に、平安時代以降は画所・絵所に属した。  
  御用絵師。えかき。画家。画工。

とあった。

自分なりの解釈となるが、一般に使われているニュアンスからこの意味を考察すると、「専門技術を身につけた者」という意味があって、その上に、『師』には「教え導く者」とか「ある境地に達した人」などという語に潜む精神的な意味が重なるような気がする。

明治時代に、芸術とか芸術家とかといった概念が油絵と共に輸入されたのであるが、その後、職人的意味を持つ「画工」という表現こそ消えたが、「絵師」といった芸術家とは一線を画す「職人」的な姿勢として「絵師」という立場的呼び名を用いてきたようだ。

明治以降の学校美術教育の場では、西洋の近代美術の美意識や、概念を基準として教え伝えてきた。
小中高と美術教育の全てが、その西洋の美意識で教えられ育てられた。

今年から、我が工房にM美大を卒業した女性が入門してきた。彼女は職人として絵師になりたいというのだ。
彼女がここに来る前には、絵師という仕事がどういったものか、私の経験を通してよくよく話をしたし、彼女もその意味を理解した、というよりそれを望んでいた。

当工房は、入門当初の1年間はお給金などというものはない。それでも良いと言うのだ。

「職人」イコール「本物」・・・というニュアンスが昨今の物作りをする人に対しての世間の、特に若い優れた感性を持つ人たちの中で共通の認識となってきた。

見た目さえ良ければ、何かを感じさえすればそれで良いという時代が過ぎ去ろうとしているように感じる。
アートとか芸術という「曖昧で未熟で独りよがりな感性の表現」は、観る人の心を空しくさせるだけになったのかもしれない。
今の若者は、それを感じ取っているのであろう・・・。

絵師であり図案家だった神坂雪佳(1866-1942)は、16歳で四条派の日本画家・鈴木瑞彦に師事して絵画を学び、装飾芸術への関心を高めたのちの1890年には図案家・岸光景に師事し、絵師としても工芸意匠図案家としても活躍し優秀な絵や図案(デザイン)を残した。
当時、フェノロサや岡倉天心が推進した日本の伝統的美意識や技法を美術学校システムにて教え伝えようとして、西洋文化に憧れ影響された「絵師」を指導者とし、「教授」として迎えようとした時も、彼は、本来の日本の生活空間を装飾する「絵師」としてその姿勢を貫いたそうだ。
京の町にはその神坂雪佳の跡を継いでいる職人絵師や図案家が今も残る。

日本の伝統美術の振興に尽力したフェノロサだが、それはその伝える方法やそれに確かに潜む「伝える心」を欠いていた。学校制度では伝わるはずがない。

このことから、明治以降に制作される絵画の価値基準は、自己を表現する芸術家としての当時としては革新的「画家」と、従来の住空間を装飾する職人としての保守的立場として活動(生活)する「絵師」に分かれた。


今、京都のある寺院が、美術系の私立大学と襖絵の制作プロジェクトとして、その大学を卒業する学生を「絵師」として募集し、1人の女性を選んで、その学校の教員と住職とが、にわか仕立ての「絵師」に仕立てて、マスコミやネットを利用し大々的に広報活動をはじめたそうだ。

その寺に工房を構え、作務をこなしながら、かつての絵師がそうしたように、寺が給料を支払い全面的に支援するといった、やらせ企画だそうだ。
思いつきは、その寺の副住職なのだそうだが、聞くと、趣旨として、絵師を育てる昔の良き文化を復活させようと、寺の役目として熱い想いを巡らして頂けたのだそうだ。

しかし、所詮は、にわかつくりのパフォーマンス。
学校側の教諭でもあるプロデューサーが全てを取り仕切る。
寺は、襖の制作費を浮かすついでに話題を提供し、見学者、参拝者を有料で招く為の旨いやり方をその「趣旨」で隠す。
一方の美術系大学は、こうした話題や実績を広報することで、美術系生徒の獲得に繋がるし、新しい可能性を期待してのことであろう。

利害が一致した経済活動である。これも、ひとつの文化かもしれないが、売りが回顧主義のようで、実は、今流行りの「絵師」の「AKB48版」なのである。

AKB48は、流行り歌の世界だから、ひと時の流れなのでそれも許せるが、寺の襖絵は後世に残り、その時代を屈折した部分で反映してしまう。
というのも、京の町には、まだまだ神坂雪佳のように優秀な職人絵師が数多く埋もれているし、これから真面目に真摯にその職人の技や精神を学ぼうという若者が居る。

美術系だけではなく、いわゆる大学校という存在が、日本の良き精神文化を壊して来た。
特に美術・工芸に関しては顕著で、制作意図のところでその根本である精神を言葉や文章で教え伝えることはできても、身につけさせることは不可能なのだ。

「絵師」という、自己表現を主とする芸術とは一線を引いて、独自に修練を積んできた「職人絵師や工芸師」といわれた人達が、長い時を経てやっと得た「本物」という評価を、アーティストを養成する美術大学が、これから激減する生徒の獲得の為に、まさにその「絵師」という語の響きを安易に横取りし、生徒を欺こうとしていることに、私は気付いた。

ことに、このプロジェクトに応募し、採用された若者の将来を心より憂慮するが、ご本人は、いたってAKB48のメンバーのように、「絵師」という語の持つ枠組みの意味など考えることもなく、選ばれたアーティスト気分なのかもしれない・・・。

古い優良な伝統文化を大切にするこの京都が、今後、彼女を受け入れることができるのか、結局は彼女自身の精進にあることに、彼女自身が早い時期に気付いてくれることを願わざるを得ない。

当工房にこの4月から修行を始めたM美術大学を卒業したての新人に聞いた「君にもし、こういった機会が与えられたらどうする?」
「もちろん、喜んでお受けします。だってお給金を貰えて、技法を教えて貰いながら、画材も無償で提供して貰って、マスコミやネットで報道して貰いながら貴重な経験ができるんですよね。チャンスだと思います。」

確かに、絵師として修行し、下積み生活をして来た者にとっては素晴らしいチャンスだと思うのだが、美大出たての彼女にとって、いったい何のチャンスだと感じたのだろう・・・。


ご意見 | 16:17:26 | Trackback(1) | Comments(0)

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