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絵の値段
絵の価格ってどうやって決めるのか読者は疑問に思われているに違いない。
当然ながら、仏画の価格もどうやって決めているのか分からないに決まっている。

絵が欲しいのだが、いったいいくらかかるんだろう・・と、絵画に限らず、美術品を買い求めたい人にとっては、切実な問題だ。

作品の価格が、定かではないので、価格のはっきりしている画廊や百貨店に行って、その作品と値札とをにらめっこしてから購入を決める。

相当なお金持ちで無い限り、この決定方法が一般的ではないだろうか。

私が、着物や帯の図案を描いて生活の糧にしていた頃、そう、独立させていただいた27歳から34歳頃までだっただろうか。
自分の描いた作品に販売価格を付ける時が一番苦しかった。
少しでも高く買って欲しいが、高くすれば、二度と買ってもらえない、依頼して貰えない・・・。
そんなドキドキがあった。

価格は、経験年数を最前提に、当然ながら技量と感性で決まっていった。
いくら良い図案を描こうが、経験年数が少ないと、業界から面と向かってではないが批判を受けた。
しかし、図案は商業デザインなので、結果さえ出せば、そこそこ大きな顔ができたし、価格も少しのアップなら受け入れてもらえた。

価格が大きく跳ね上がり定着することはなく、その時々の相場というものがあって、所属する会派で、なんとなく相場を決めていた。
年に4度くらい開催する展覧会では、諸先輩図案家の設定する価格を最高値とし、それに準じていた。
当然ながら、その空気を読めない者は、非難を受けた。

30歳から34歳ぐらいまで、帯の図案を描く機会があって、帯図案を描く友人と一緒に個展活動を始めたことがあった。

この友人の帯図案家たち一門の開催する業者相手の個展では、販売価格を決めずに『入札』が一般的だった。

入札とは、業者が気に入れば、いくらでも積んでくれるというわけだ。
いくらでもと書いたが、たぶんそれなりの業者間の相場があったのだろう。

私は、師が着物の図案家だったので、その所属する会の展覧会では、いつも価格を提示していたこともあり、この「入札制度」に一番疲れる「図案の価格」を付ける必要が無いことに、魅力を感じ、3年ほど続けた。

作品に価格を付けることは、どんな作家も気を使っているはずで、日当程度に付ける作家や、作家個人や団体、画商が美術年鑑や美術名鑑等に有料にて、自分の、または売りたい作家の相場価格を活字にしてもらうのが一般的だと思う。

では、この美術名鑑や美術大鑑、美術年鑑なる分厚い冊子は、いったいどういったシステムで作家名を掲載し、その相場価格を掲載しているのだろう・・・。と読者は思われるに違いない。

これらの冊子の出版元は、我々のような創作家個人や団体が、自分の作品の価格を提示することに、いかに苦しみ迷っているか、またどれだけのエネルギーを使っているのかよく知っている。
そんな作家個人や作家の集う団体からの要望で、必然的に生まれたとは思うのだが、実にうまくできたシステムを作り上げたものだ。

掲載するにあたり、有名作家を独自に選び、その作家を無料で掲載することにより、その冊子の存在性に権威をもたせ、信頼度を得ているものもあれば、プロであれ素人であれ誰彼と差をつけず、希望する作家には、有料でどんどん掲載するものもある。

無名の作家でも、名の売れた会派や団体、公簿展等に所属している作家であれば、名前と価格を有料(数万円~十数万円程度)で載せる。

その類の出版物の全てがそうであるように、団体で掲載料をまとめて負担し、団体自体がその団体の中でも、優秀と認めた作家を掲載無料とし、団体の中で、その価格面でのステータスを競う仕組みを作り上げているわけだ。

売れる作品を創る作家の価格をコントロールする画商も、価格更新の為の掲載料を毎年支払ってくれるお得意様となる。
彼等の価格操作により、作家の作品価格が上昇することになる。
価格の上がった作家は、偉くなったということで、「自分は、自分の作品の価格には興味はないが、○○名鑑ではいくらになってるから・・・。」といったまるで他人事のように嘯くことができる構図ができあがるわけだ。

つまり、いやらしくないのだ、作家が自分で自分の価格を決めて売り込むことは「品」が無いのだ。
作家先生と言われる由縁だ。
なので、当然ながら、若い作家はこの路線に乗ろうと努力をすることになるわけだ。

そういった手法が一般的なその類の出版物の仕組みではあるが、今では、それ以外のそういった類の出版や企画展、団体へのお誘いが、規模の大小問わず特に最近増えたように思う。

つまり、本来は一人で創作する孤独な存在であるべきはずの作家(最近では職人もそうなのだが)は、自分の作品の価値を高める手段を得るために、団体に所属したり公簿展に出品し、自分の立つ位置や価値を世間に認知して貰おうとするのである。
私のような例外を除いて、ほとんどの作家がそういう立場で、自分の作品の価格を決め、創作活動をしながら生活しているわけだ。

私のことは例外と書いたが、それでは、私の描く仏画の価格はどうやって決めているのか?
ということで、次回は、このことをはじめて明らかにしてみたい。


うんちくひけらかし | 10:53:13 | Trackback(0) | Comments(0)