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藤野正観のちょっと書いてみます(2017年7月8月合併号原稿より) 
2017-7月8月号用-2006年6月-インド・灼熱のナーガルジュナ・コンダ遺跡で、少ない木陰に退避する筆者一行
2006年6月-インド・灼熱のナーガルジュナ・コンダ遺跡で、少ない木陰に退避する筆者一行


龍樹菩薩の島

 猛暑の夏がやって来る今の頃、あのハードな旅を思い出します。
二〇〇六年にインド・デカン高原の仏教遺跡に旅をした時の、あの強烈な暑さ・・・。忘れられません。
 二五〇〇年前の北インド。
お釈迦様のご一行が、夏の暑い時期にはマンゴウ林など木陰が多くて涼しいところに留まって、修行したり説法をされたそうです。そのことを夏安居(げあんご)といいます。
 暑さ凌ぎとは、ちょっとお釈迦様御一行は軟弱じゃないの・・・?  
 それなら、実際にその「インドの暑さとやらを体験しよう!」ということになり、私が、西国二〇番札所の善峯寺のご住職をはじめ、お知り合いにお声をお掛けし、インドでは最も暑い時期とされる六月にその猛暑体験ツアーを決行したのです。
 参加者は、私の仏画教室の生徒さんの三〇歳代の女性二名と、ちょうど旅の途中で還暦をお迎えになった方を年長に、老若男女計十三名。小回りの利くちょうど良い人数です。
 インド旅行ではよくあることですが、この旅も数時間遅れでデリーに到着。少し仮眠して直ぐにボパールへ向かいます。旅の初日から寝不足です。
 世界遺産のアジャンタやエローラ、ハイデラバードのゴールコンダ遺跡、ナーガルジュナ・コンダ遺跡、ビジャヤワダのアマラバティ仏塔遺跡、チェンナイのマハーバリプラム海岸寺院、それとムンバイでは、予定を変更してカンヘリー石窟寺院群を訪れました。
 今まで何度か訪れた北インドの仏教遺跡も私にとっては、筆舌に尽くし難いほどの圧倒的、感動的聖地ですが、夏の暑さで思い出すのはやはりこの旅。今回は、その旅先でも強烈な暑さで印象に残るナーガルジュナ・コンダ遺跡の様子を書きます。

 当時、日本人もまだ訪れる人も少なく、日本大乗八宗の祖、ナーガルジュナすなわち、龍樹(真言宗では龍猛)菩薩のお生まれになった聖地です。
 この地は、一九六〇年、ダムの建設に伴い、水没することから主要な遺跡を発掘された通りに再現、方位もそのままに丘の上に移設し、水を湛えた現在は、遺跡の島(ナーガルジュナ・コンダ)として保存されています。
 この巨大なダム湖は、想像以上に大きく琵琶湖の1/5ぐらいの大きさだったでしょうか、一〇〇人乗りぐらいのボートで四十五分ほどかけて、その遺跡の島に渡ります。
 インドの真夏ですから、船着き場では、真っ黒に日焼けした子供たちが、自然石の埠頭からダイブして、出発を待つ私たちを楽しませてくれます。
 道中の船から見える湖岸の大部分が赤土と岩肌がむき出しで、この巨大な湖が人造湖であり、この船の下に龍樹菩薩が活躍された地が沈んでいることを感じさせてくれます。
 デッキの椅子に疲れた体を委ね、それぞれの想いで過ぎ行く湖の景色を眺める私たちを、時おりディーゼルエンジンの排気ガスが現実に戻します。
 それでも、湖面で冷やされた風が真夏の日差しで火照った頬を優しく冷やしてくれます。
 周囲四㎞ほどのこの島に着くと、徒歩で遺跡を巡るのですが、木陰の少ないその島は灼熱の太陽に熱っせられ、四〇度は軽く突破しています。
 肌を刺すような強烈な日差しは、お釈迦様ご一行の「夏安居」を私に納得させるには十分な暑さでした。


冊子原稿より | 14:03:45 | Trackback(0) | Comments(0)