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平等院の扉絵復元を観に行って来た
平等院鳳凰堂の創建以来、初めて取り外された扉絵の一部が一般公開。

国宝「日想観図」が描かれた扉と復元画が平等院ミュージアム鳳翔館で12月14日まで公開されている。

前の日曜日、平等院のHPにあったポスターの復元画の写真に気になるところがあるので、その復元図を観に行って来た。

蛍光X線分析や、近赤外線撮影など最新の技術で撮影された、資料を元に描かれたという。

『日想観の図』というと、一般に良く知られているものに、当麻曼陀羅図(観経変相図)がある。
その図の向かって右側に、観無量寿経に説く13種の観想法が上から順に描かれている。
その一番最初の、西に沈む美しい日の入りをイメージ法が、鳳凰堂という阿弥陀三尊を安置する建物の扉絵になっている。
鳳凰堂とは、10円硬貨の図でおなじみだが、阿弥陀如来を教主とする西方浄土の棲家、楼閣をイメージした建物である。

その当麻曼陀羅を今まで大小15作以上も描かせて頂いただろうか、何度も描いているので、日想観がどういった構成で描かれているのか頭の中に入っている。そのつもりだ。

今回のデジタル調査による復元図の完成度をこの眼で観たかったのだ。

私の場合、図の内容は、すべて分かっているので現存する国宝の扉絵では、裸眼では見えなくなっている部分が解明されたという報道に関しては、あまり興味がなかった。

ポスターにあった、その完成度に興味があったのだが、やはり想定した彩色部分には疑問が残った。

新聞などでは、『金沢美術工芸大の荒木恵信准教授(日本画家)が約1年半がかりで完全復元した。』とあったが、完全復元という表現は誤りであり、想定復元模写という表現が妥当で、相反する紛らわしい表現も気になった。

さて、その現物を観てみると、色鮮やかな緑青の山の峰や見えなかった韋提希夫人の再現、五つの滝の表現などさすがにエックス線写真の威力に感心させられた。

が、しかし、繊細な波の線描は、他の扉絵のそれとは比較にならないほど未熟だったし、木々の描き起しの墨による線描もなかったり、あったとしても、ただの輪郭線で、未熟だった。
その絵画としての完成度は、再現模写と表現するわりには低かった。

学術的には、新発見(?)もあったのだろう、でもそんなことより、肝心の大和絵の味わいや、『描き手の技量や絵心』が表現しきれていないのにはがっかりした。
私は、画材の分析は、それはそれで、重要なことだと思うのだが、それに囚われすぎるとマニュアル主義の薄っぺらな絵画に成り下がる気がするというか成り下がっていたのだ。

現状模写はさておき、再現模写とか復元模写は、まず、何を写し取ることを良しとするのか、もう一度考え直すことが必要ではないかと思っている。
よく似た仕事をしている私としては、描かれた当時の、その描き手の心を写し取ることだと思っている。

その当時の絵師に負けない技量を身につけない限り、当時の絵師の表現欲望や想いを感じ取れないし、それを感じ取らなければ、復元などできないと思っている。
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ご意見 | 16:43:11 | Trackback(0) | Comments(1)
コメント
女性像に疑問
風景全体が日本のものなのに、なぜか中国風の女性像が描かれている。観無量寿経に出てくるイダイケ夫人だというが、この場面にふさわしくない。実はあの部分は赤外線写真でも裾のあたりしか確認できないそうだ。法衣の僧侶と見るべきだろう。鶴林寺壁画で太陽に向かい合掌する僧侶を来迎する図があり参考になる。話題作りの捏造はよくないと思う。
2012-10-25 木 16:20:17 | URL | つる [編集]
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